7月16日(日) 法話漬けの6月からお盆の7月へ

  • 三条教区第20組推進員養成講座後期教習(本山奉仕団)

仏光寺派の新潟教区で法話をする縁をいただいた後、6月に入ると、2〜4日まで三条教区第20組の推進員養成講座後期教習で3日間京都の同朋会館に出講した。6月の半分が外泊であった。法話だけで15日もあった。年中新幹線や飛行機に乗っている感覚であった。東京でも数々の法話があったが、地方での法話は前泊や後泊があったりするから、どうしても外泊が多くなるし、会議での出張もあったりして、とにかくあっちこっち飛びまわっていた。また自主聞法会や寺の聞法会もあったから、聞法会づくしの6月であったと言っていいだろう。もちろん法事もあり、葬儀もありで、目が廻る1カ月であった。

三条教区第20組の推進員養成講座については、次回に詳しく書くことにするが、推進員養成講座の大切さを改めて知らされた。20組のスタッフが実に真剣で何度も会合を重ねたことがとても印象的であった。やはり最後は住職をはじめとした寺族の姿勢がすべてを決める。まず自分の姿を教えに照らされないと何も始まらないことを改めて新鮮に感じさせてもらった。20組のスタッフは、住職、若手、坊守が一体となって、そしてご門徒もそれに呼応して成り立った講座であった。とにかく次回、20組の推進員養成講座について詳しく書くことにしよう。

  • 弘前駅前ヒロロホール
  • 青森市男女共同参画プラザ
  • 天融寺夏季永代経法要
  • 岡崎教区坊守一日研修会(岡崎教区会館大ホール)
  • 北海道教区坊守基礎講座(札幌別院 大谷ホール)
  • 沢渡温泉宮田屋旅館からの景色(伝道講習会修了者研修)
  • お盆の風景(蓮光寺)

地方と言えば、12日に弘前、13日に青森で法話をした。新青森から弘前に向かうため奥羽本線に乗車した時のことであった。長椅子に8人座わっていた乗客をじっと見ていると、東京の光景とはちがっていた。東京だと少なくとも7人はスマホをいじり、あと1人は寝ている。混んでいても会話をしている人はほとんどいない。関係性不成立の孤独の群衆が東京の車内の風景である。奥羽本線の車内では。8人中スマホをいじっているのは2人、本を読んでいる人が1人、笑いながら話をしている人が2人、カバンの中にあるパンをちぎって食べている人が1人、ボーとしている人が1人、寝ている人が1人。とても豊かさを感じたのであった。超情報化社会であるから、スマホをしている人も当然いるし、服装も東京人と変わらないが、その地方特有の情緒さや場の雰囲気というものがあり、画一化されていない光景に、小生はほのぼのとした気持ちになっていった。途中の青森県浪岡町に「大釈迦」という駅があった。ところが大きなお釈迦様の像などどこにも見当たらない。弘前の寺院の方々に聞いてみても大釈迦という駅の名の由来は真相はわからないと言われていた。あとで調べると、梵珠山に釈迦堂があったという説、現秋田県大館市釈迦内の人が自分の村に持ち帰ったという説、またその逆の説もあったりで真相はどうもはっきりしていないようだ。でも青森、秋田にお釈迦様に関係する伝説があることには、とても親近感を覚えた。

弘前も青森もホールを借りての聞法会。一般市民にも来てもらいたいという願いで町の中心地で開いた。実際、飛び込みで参加した市民もいたようだ。弘前も青森も、門徒さんが真剣に聞いて下さるので、とても話しやすかった。門徒さんの子どもは東京で生活している人が多い。何とか念仏相続をしていってほしいものだ。小生のお寺で青森の門徒さんと東京にいる門徒さんの子供や孫とお寺で会うという企画はいいのではないか。そんなことをスタッフの方々と話した。草の根的な横のつながりは末寺同士だからできることである。東京のお寺でご門徒の家族が顔を揃える。そこには阿弥陀さんと親鸞聖人がいらっしゃる。小さな試みであるが、そういう場を開いていくことを地道にやっていくことが大切だ。弘前でも青森でも懇親会があった。ともに地元のお店でうれしかった。東京のチェーン店はこりごりだ。地元ならではの店で、地元の酒を飲む。実に心地よい。

14日は新青森から練馬の真宗会館に向かった。翌日の15日は16日〜18日まで北海道恵庭の天融寺さんの夏季永代経の法話のため。札幌で前泊し、16日朝9時に天融寺さんに入った。おそらく小生が行ったなかで一番大きな寺院であろう。本堂も広く、いくつ座敷があるか数えきれない。100畳以上の多目的ホールも備えていて、なんともうらやましい。3日間で6座9席の法話をした。

法要後のご住職の挨拶が、単なる挨拶ではなく、時代をおさえ教えを語られるので非常に勉強になるとともに、法話に自然と気合が入った。

このお寺は、いつもご門徒の声が聞こえてくる。笑い声も聞こえる。男性の総代さんたちはもちろんしっかりしているが、やはり婦人会のパワーがすごい。よく話し、よく笑い、よく動く。そしてよく聞法している。考えてみると、1月の岡崎教区の坊守一日研修会も3月の北海道教区の坊守会基礎講座でも女性のパワーを感じた。お寺における坊守さんの力は実に大きい。考えてみると元気のある宗教教団は必ず女性が活躍している。女性の存在は偉大である。

6月最終週は伝道講習会修了者研修(2泊3日)があった。沢渡温泉にはもう23年通っている。沢渡の景色を見るだけで、原点に帰ることができる。忙しかった6月は、聖地沢渡温泉で、道場長として講義、そして松井先生の講義を聞き、仲間と語り合うことで、新たなパワーをもらったのであった。

7月に入り、8日に三条教区第20組の推進員養成講座「まとめの講座」に出講。9日からお盆参りを開始した。今年のお盆は暑くて体力の消耗が著しい。ただ、ご門徒は「お盆でお忙しいですね」と労ってくださるが、実は小生にとっては最も寺でゆっくりできる時なのである。お盆期間中は、法話に出かけることもないし、会議や学習会も少ない。お参りにいらっしゃる門徒さんの様子もゆっくり見ることができる。寺離れと言われているが、家族でお参りにいらっしゃるご門徒がまだまだ多いので、少しホッとしている。本堂に向かって、また親鸞聖人像に向かって、手を合わせてくださるご門徒も実に多い。死が隠蔽されている時代だからこそ、死すべきいのちをどう生きたら、本当に生きたことになるのか、この問いかけに耳を傾けはじめているご門徒も増えつつあり、また無関心になっていくご門徒もありで、まさしく過渡期を感じるのである。本当の暖かさを知る人は、実は寒さや冷たさに震えたことがある人である。生のみしか見ていない人は、死を排除しているから本当の生を受け止めることはできない。生死一如は大切な視座である。お寺のお盆の風景、そして門徒との会話を通して、僧侶としての使命感が育てられていく。

お盆が終わった。また、お寺を核としつつ、地方の様々なご門徒との出遇いが始まる。

〔2017年7月20日公開〕