6月15日(月) 北海道第18組同朋大会&吉田美和さん(ドリカム)

温泉宿の部屋から見た十勝川温泉の景色 同朋新聞をパロディー化した同朋大会日程表 同朋大会会場の池田町西部コミュニティセンター 小生の法話 吉田美和さんのギャラリー 同ギャラリーの案内図 なんだかお恥ずかしいです ブドウ展示園

北海道第18組の同朋大会に出講した。今年初めての北海道、これを皮切りに、今年も数回北海道へ行く。昨年同様、北海道の法話の旅が始まった。

北海道第18組は、帯広に隣接する中川郡池田町、幕別町を中心とした地域である。同朋大会が午前10時30分から開催されるため、前日に北海道入りした。とかち帯広空港に到着したら、息が白い。とにかく寒い。気温は何と9℃しかない。朝晩はストーブを入れているそうで、このところ雨続きのようだ。

18組からご高配を賜わり、十勝川温泉「第一ホテル 豆陽亭」に宿泊させてもらった。たった一人で泊まる温泉というのもはじめてで大平原に囲まれて心が洗われるようであった。夕食は18組の組長をはじめとした組の代表の方々が温泉宿に足を運んでくださり、打ち合わせを兼ねて懇談した。夕食のぎりぎりまで準備に追われている18組のスタッフの熱意が伝わってきた。

スタッフの一人である古海さんが作成した日程表は、同朋新聞をパロディー化したもので実にユニークである。一見すると同朋新聞と間違えてしまうほどだ。それ以上に小生の文章などをよく読んでくださっていて、それを踏まえた上での構成になっているところがすごい。表紙の御遠忌テーマを受けた小生の言葉は、『なごやごぼう』の小生の文章から引用したとのこと、感心するばかりである。我々の組でもいい意味でパクらせてもらおうと思う。18組の熱意が東京2組にも伝承されればありがたいことである。

当日の会場は池田町西部コミュニティセンターで、250人ほどのキャパがほぼ満席になった。また帯広別院のご輪番をはじめ列座の方々もわざわざ聴聞に来てくださったことは本当にうれしかった。東京のような人口の多いところでも組単位では250人近くが集まることなどめったにない。人口の少ない地域なのに、よくこれだけの門徒さんが集まるものだ。法話も3座、延べ3時間という長時間にも熱心に聞いてくださった。やはり聞法することが生活習慣になっているのだろうか。

18組からご依頼のテーマは「宗祖としての親鸞聖人に遇う」。あえて「宗祖として」ということにこだわるところに大きな意味がある。宗祖とは浄土真宗の開祖という意味ではない。浄土真宗とは「浄土を真のよりどころとする」という意味で親鸞聖人は用いられている。つまり、浄土をよりどころにして生きた祖ということになる。でもこれはあくまでも説明にすぎない。浄土を真のよりどころとして生きることができたと喜んだ人が「宗祖として」ということをはじめていただくことができる。つまり教えを我が身の上にいただいくことがすべてと言っていい。それ以前に「浄土」ということがはっきりしているだろうか。真宗の救いと自分が考えている救いとどうちがうのかなど、とにかく足下から考えていくことが大切だ。親鸞聖人の明らかにした教えの答えを提示するだけで、知識で理解しても何も感動はない。いつも言うことであるが、教えは苦悩の身にしか響かない。苦悩を抜きに教えが成り立つのであれば、教えは観念化し、形骸化していく。苦悩を見失った、軽んじた宗教は、たとえ真宗でも腐敗していく。正確には真宗の教えをいただく我々の姿勢がまちがっていれば、真宗を形骸化させてしまうということをいつも肝に銘じておきたい。

同朋大会終了後、帯広別院の報恩講でもお世話になった鳥宮さんに、池田ワイン城に連れて行ってもらった。池田町は、町営でブドウ栽培・ワイン醸造を行っており、「ワインの町」として知られている。十勝ワインは酸味の効いた辛口なのが特徴である。ワイン城のおみやげ屋で、ここだけしか販売していないワインを2本買って大変満足であった。

それから池田町はミュージシャン吉田美和さん(ドリカム)の故郷である。この大平原で育った感性が歌に表現されているのだと思った。ワイン城の脇に吉田美和さんの衣装などを展示したギャラリーも建てられている。おみやげ屋にはドリカム20周年記念ワインも販売されていたが、彼女は甘口が好みらしいので買わなかった。今となっては買っておけばよかったと後悔している。

実は小生の知り合いがたまたま吉田美和さんと面識を持つようになったことで、いつか吉田美和さんと話がしたいと思っていた。彼女はきっと親鸞聖人の教えを聞いてくれるはずだという思いがある。十勝川温泉の夕食の時もたまたま吉田美和さんの話にもなったのだが、同席された教化委員長さんが吉田美和さんのお父さんと友人だということを知った。教化委員長さんに「東京の本多と言う真宗僧侶が、娘さんと語り合いたいと言っていたとお伝えください」と話しておいた。そうしたら次の日の同朋大会の会場で、教化委員長さんが「昨日、早速美和さんのお父さんに電話しました。本多先生とお話しして、念仏の心を伝える歌を作ってくださいと話しておきました」とおっしゃったのでびっくりしたと同時にワクワクしてしまった。吉田美和さん、この文章を読んだらメールください。あなたならきっと親鸞聖人に共鳴してくださいます。ぜひ、それを歌にしてください! 教化委員長さんには何度もお父さんにお話しいただいて、吉田美和さんにまずはホームページから見ていただければと思う。

北海道に行くと、ご門徒をはじめとした様々な出遇いがある。今回はご門徒ばかりか、吉田美和さんともちょっと関係を作ったかな⋯。北海道はいつ行っても心に残る出来事がある。

〔2009年6月18日公開〕