蓮光寺門徒倶楽部は1986年9月に誕生しました。現在、50歳の住職は弱冠26歳という若さでした。門徒倶楽部が誕生してすぐ機関紙を発行しました。それは発信することの大切さを感じたからでした。
始めは遊び心で「正信偈」の「帰楽邦」(浄土に帰る)をもじって『仏帰羅望』(ぶっきらぼう)と名のって12号まで。続いてリニューアルして一転まじめに『門徒倶楽部通信』として10回、計23号まで。ここまでは手書きの機関紙でした。そして再びリニューアルして1995年1月よりワープロ、パソコンを使用して『あなかしこ』が発刊され、今日まで45回、計67号までたどり着きました。
今回のリニューアルで名前の変更も考えたのですが、『あなかしこ』という名がご門徒の間で深く浸透していることから、基本的に名前は変えない方向で検討しています。しかし、それだけではありません。名は単に名ではく、深い願いが名となっているからです。『あなかしこ』の表紙絵をずっと描き続けた原一男さんが脳の病気で車椅子生活になって早五年近くがたちました。リニューアル前にもう一度原さんの絵をという願いのもとで、原さんの絵を掲載しました。体の右半分の自由が利かず、声もほとんど出せない状態でも、いっしょに正信偈を唱和する原さん。そこにはまさに「今、いのちがあなたを生きている」相(すがた)がありました。正信偈は人間の悲しみや苦悩とともに唱和されてきました。その深い願い(本願)の歴史のなかに、この私を見出すことによって「共なる」世界が開かれてきます。この世界に手を合わさざるを得ません。そのことを大切に相続して、次号からの『あなかしこ』を製作していきたいと思います。
(蓮光寺門徒倶楽部)